「すべて世は事も無し」制作集団真夏座 両国シアターX

久しぶりの舞台劇。欧米人の脚本なので登場人物は欧米系の名前。全員日本人なのに、アリーだのテオなどと呼び合っているのが、なんともむず痒い。だが、舞台も中盤になると気にならなくなるから不思議なものだ。お話は、前期高齢者の四姉妹を巡る話。日本で言えば細雪、中国でいえば宋家の三姉妹ダウントン・アビーもそうだ。姉妹はドラマになりやすい。お芝居はよくできていて楽しいのだけど。こういう芝居ってどうなの?とつい思ってしまう。日本人が日本人を演ずるドラマならいいし。どこの国の人でも構わない人間のドラマならいいのだが。日本人が欧米人を演じ、欧米的な暮らしや価値観の断片を見せられているのがなんだか居心地が悪い。いいものはいいのであるから、これも有りなんだろう。でも、この逆はないのではないだろうか。イギリス人が細雪を演じることはないのではと思う。エッセンスだけ抜き取ってやったら別物になるのだろうか。そんなことを考えてしまった。それにしても、「欧米を見習え」という明治の思想は深く深く私たちに根づいているのだなあとしみじみ思う。意識を変えるのには時間がかかるね。