リチャード・リーキー 岩本光雄訳「入門 人類の起源」新潮文庫(昭和62年)

今更、人類進化の話を読んだ。東アフリカではお馴染みのリチャードリーキーも、私は名前しか知らなかったからだ。写真がたくさん入っている文庫で、訳がいいのか、面白くてページがぐいぐい進んだ。楽しみながら、人類進化の勉強が出来て得した気分になった。30年前の本だが、その頃は人類進化なんて頭の片隅にも登らなかったし、読んでもその面白さが少しも分からなかったと思う。この年齢になって出会ったから楽しめた本なのだと思う。たとえ内容はすぐ忘れてしまっても、面白かったことは覚えていたい。驚いたのは、この本の最終章。狩猟生活から定住への話が書かれている。30年前の本なのに、なぜか現代の、今の世界状況にピッタリ当てはまるのだ。歴史は繰り返すというが、ゾッとした。気の遠くなるような時間で、やっと登場してきたホモ・サピエンス。人間は、今も変わらず富を奪い合い、殺し合う。やがてすべてはまた灰塵に戻るのに。生きることはサバイバルゲームなのかと複雑な気持ちになった。そんなことを思い巡らしている夜。スマホがミサイルの到来を告げる。