立花隆「マザーネイチャーズ・トーク」新潮文庫(平成8年)

先日お亡くなりになった立花隆さん。文春で特集されていたので読んでみた。この本は雑誌に連載された対談集をまとめたもの。今から25年前の本。対談相手がまた一流の方々で、その中で、河合雅雄さん、日高敏隆さん、多田富雄さん、河合隼雄さんは私も知っている。今の世界が、25年前からどのくらい進んだかどうかはよく分からないが、25年前の話でもとても面白く読んだ。立花隆という人がすごいのだろう。どの話も25年前の今が十分に意識され、その最前線を切れ味鋭く踏み込んでいく。読者の知的好奇心を引き出しつつ、研究者自身の人柄もにじみ出てて、一瞬、研究者という生き方に憧れてしまった。世の中知らないことばかりなのに、よくこの年まで生きてきてしまった。それだけ平和だったし、守られた存在だったのだろう。もう守ってくれる人はいないけど、誰かを守ってあげることは出来る。誰かを思いやることで自分の居場所を探す旅、これからはそれかなあとぼんやり思った。