立花隆「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」文春文庫(2003年)

「知の巨人」立花隆の簡単書評本である。その前後に、彼の大量読書術と速読術の披露、最後は「『捨てる』技術」という当時の人気本を一刀両断している。立花隆は、彼がこの世を去ってから読んでいるわけだが、難しいことを分かりやすく面白く書く技術が卓越している。こんな私でさえ彼の文章なら相当難しいことでも理解した気分になれる。本当に惜しい人を亡くした。今まで読んでこなかった自分が残念である。今回は彼が紹介する本の話が大半だが、彼の勧める本はどの本も面白そうである。紹介している分野も幅広く、まさに「知のデパート」。四半世紀も前の本だが、若者の科学離れを嘆く一節など今の世の中をぴったり予言している。思えば、安倍さんも菅さんも、科学は苦手そうだった。コロナ禍の政権が科学に暗いというのはなんとも残念だった。ドイツの元首相のメルケルは物理学の博士号を持っていたとか。自分も大して勉強して来なかったから、人のことは言えない。しかしこんな年になっても、勉強して損はない。いくつになっても、学ぶことは楽しく、知ることは幸せだ。それを知ることが出来て私は幸運だよ。