PLAN75(2022)

75歳になったら自分の意志で死ぬことができる法律、「PLAN75」は、国の施策で、支度金10万円を貰って安楽死しましょうという国による高齢者削減プログラムだ。映画の最初の方に、75歳くらいの女性が、プラン75のパンフレットを持って相談にやってくる。「一番お手軽なのだと、合同で焼却、埋葬もできます」と、プラン推進を仕事にしている磯村勇人が説明する。映画は静かに、説明は極力少なく進んでいく。主演は倍賞千恵子。実年齢は81歳。素のままの倍賞千恵子が主役を演じる。身寄りがなく、お金もない高齢者は一生働くしかない。ただ仕事は年齢と共になくなり、高齢者のひとり暮らしは大家に嫌われ、住む場所もない。そうなったら、もう死ぬしかないと思うのは自然な流れ。今日が最後の夜だと思って食べる「特上寿司」、私は美味しく食べられる自信はない。75歳まで生きれば十分だろうと思っていたが、私は甘ちゃんだった。安楽死で死んだ人を焼却するために、眼鏡や時計、ベルトなどを遺体からはずす仕事がある。介護士をしていたフィリピンの女性が、高賃金にひかれてこの仕事に転職する。合同で焼却埋葬。死んでしまったら一緒だろうけど、想像するたけで胸が潰れる。これはフィクションだが、いつ日本国が推進しだしてもおかしくない。まるでマイナポイントみたいに。膨大なお金を使って葬儀をされる人がいる一方、ゴミ扱いにされて死ぬ人がいる。安楽死も選択肢のひとつかもしれない。生きるのも大変だが、死ぬのも大変だと痛感した。生き死にはままならないとはいえ、本当に考えさせられる映画だった。