黒田未来雄「獲る 食べる 生きる」小学館(2023)

知っている人が本を出すなんてことはあまりないので、嬉しくて予約して買った。彼の華麗なる転身にも驚いたし。この本にも感動した。私の知らない彼がいたし、それがなんだかカッコよかった。内容は彼がハンターになるに至る話。語りは、簡潔で、優しくストレート。言葉の豊富さに感動した。こんなにたくさんの言葉をもっていたなんて知らなかった。おかげで、細やかな感情のうねりが自分ごとのように感じられ、私も狩猟について行きたくなった。私たちは、「生きる」ということを、それぞれ日々追求している。彼は狩猟の道を選び進んだ。実にいいもの見つけたねと祝福したい。ここまで熱く自らを牽引できるものに出会えた幸運を羨ましく思う。我が身にかえって、自らの原動力は何かと問うてみた。私を幸せに導くもの。見つけているようで、まだ届いていない気もする。細い針に糸がすぅーっと通る日と、通らない日があるように、見つけたと思ったものさえ手放したくなるときもある。人生の旨味は喪失と獲得のはざまにあるのかもね。とりあえず、冬の北海道に行けるよう今から体力をつけねば。