ゴリラの研究者山極先生の本。素人にはちょっと難しかったが、それでもチンパンジーやオランウータン等との比較は面白かった。暴力がどこから来たかという本題が、少し弱く感じられたのは私の読解力の限界だね。2007年の本だが15年余りたって一層世の中は殺伐とし、戦争という暴力は止みそうもない。社会の仕組み自体が大きく変わってきている中、森で暮らす野生のゴリラやチンパンジーたちはどうしているのだろうかと思った。人間の喧騒をよそに逞しく命をつないでいるといい。きっとそうだ。日本でも少し前には町にクマが現れて話題になった。害獣駆除でクマが殺されることに苦情が殺到したという話もあった。今は、自然や動物たちの攻撃の番なのかもしれない。人間が減れば地球環境もよくなるらしいが、そういうわけにはいかない。新年の幕開けには、自然の大きな力を前にして茫然としてしまった私たち。これは序章にすぎないのかもしれない。それでもただ弱っているわけにはいかない。生きている命は前に進むしかないのだから。